◇全学教育の感想
経済学部3年生  佐渡 和彦
 いろいろ縁があって、「全学教育についての感想」を書くことになったが、はっきり言って、私自身はこんな感想を書く立場にないような気がする。と言うのも、単位は取ったものの、かなりの講義の時間を「睡眠時間」として過ごしてきたからだ。経済学部内にはまじめに講義を受けてきた人がたくさんいるはずであり、その人たちに申しわけないと思いつつ簡単に自分なりの感想をまとめてみたい。

 経済学部生は2年から3年になる際には、定められた全学教育科目をすべて履修し終わっていないといけない。履修し終わっていないとすぐに留年が決定してしまう。全学教育科目の中でも教養科目は1年のうちにすべて単位を取ることができるが、外国語教育科目はどうがんばっても2年まで履修しないといけない。3セメスターまでは「単位が取れなかったら次のセメスターで再履修……」という気持ちでいられるが、余裕がなくなるのが4セメスター。3セメスターまでいくら順調に単位を取得していても、ここで単位を落としてしまうと水の泡。だから、私自身も含めて経済学部生は4セメスターの講義を一番まじめに受けているのではないかと思う。

 ただ、まじめに受けていたからといってその講義にそれほど興味があったわけでもない。悪い書き方をすれば「単位をとりたい」ために、まじめに受けていただけだ。私自身の中で「興味を持った科目は……」と振り返ってみると、全然今の自分の専門とは違う、薬学部の先生に教わった講義だと思う。私は、高校時代は勉強しなかったせいもあり化学はまったくだめだったが、理科の中でも生物だけはとても好きだった。大学に入学してシラバスを見たときに、生物と関連がありそうな科目として興味を持って選んだ科目が、この講義だった。冒頭にも書いたとおり、自慢ではないが私はかなりの講義を睡眠時間として過ごしてきた。ただこの講義だけは、大部分の時間起きていたという記憶がある。

 この講義がその後、私の専門科目である経済学を勉強する上で役立ったということは今のところ全くないし、これからもないであろう。当然のことながら経済学と生物は何の関連もなさそうであるから。ただ、「自分が専攻としている分野以外にも、興味関心を持っている科目がある」という学生は、けっこういるのではないかと思う。自分の専攻している科目は、学年が上に進むにつれて専門科目としてより深く勉強できるが、「興味はあるが専門ではない」という科目を勉強する場として提供するのが、全学教育の役割のひとつではないかと思う。私は、多少はそういう気持ちで全学教育科目を履修していたと思う。

 全学教育では、多くの学生が興味関心を持った科目を勉強できるように、多種多様なメニューを揃えてほしい。東北大学は10学部を擁する総合大学であり、各学部の先生方に協力していただければ、他大学ではなかなか真似ができないくらい豊富なメニューを提供できるのではないか。まあ、大部分の講義を眠っている学生が言っているので、説得力はないと思うけれど……。

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