◇大学教育研究センターの紹介
 東北大学では平成5年4月から新カリキュラムに則った教育が行われております。すなわち、これまでの一般教育科目及び専門教育科目の区分を見直して、教育内容に応じて「全学教育科目」と「専門教育科目」に改編し、できるだけ4年ないし6年の一貫したカリキュラムを目指すと共に、カリキュラムの選択に多様性をもたらすなどの目的からセメスター制を採用しました。またこれまでの教養部制度を廃止し、一年生は入学当初から各学部に所属することとなりました。

「全学教育科目」は全学の教官が協力して担当することとなり、その効果は教育を活性化し、教育の多様化をもたらすものと期待されております。近年の、急激な科学技術の発展、学術研究の高度化・細分化、社会の変化、国際化の進展等に伴い、大学教育のあり方も絶えず問われております。したがって、大学の特色あるカリキュラムを時代の要請に応えつつ編成するには、大学教育に関する不断の情報収集と分析、その成果のカリキュラムヘの反映が求められております。

 大学教育研究センターは、この要請に対応して(1)全学教育科目の企画・実施組織(2)大学教育に関する研究組織、の二面性を保有する学内共同教育研究施設と位置づけられています。

 同センターでは「全学教育科目」を開講しています。その新カリキュラムの理念としては(1)狭い専門領域に捉われない広い視野と柔軟な思考力を養う役割(2)専門教育のための基礎的素養を養う役割(3)大学教育のイニシエーションの役割、を挙げることができ、具体的には、「転換教育科目」、「教養教育科目」、「基礎教育科目」、「外国語教育村目」、「保健体育教育科目」にそれぞれ反映されています。


 以下に、それぞれについて説明します。

○転換教育科目は、上記理念の(3)の役割を大きく取り入れた科目です。すなわち、新入生の期待と意気込みに応え、学習意欲を高め持続させるために必要な情報の提供と、これらの大学生活に向けての意識改革を促すための教育なのです。
 この科目は、次の2つに分けられて、主に1年次学生を対象にして実施されます。

(1) 転換教育科目A:学部ごとに、所属学生を対象に開設する授業科目です 「文化人類学入門」、「教育総合セミナー」、「経済学入門」、「現代数学入門」、「肉眼解剖学及び実習」、「歯の解剖学」、「薬学セミナー」、「創造工学」、「農学概論」などがあります。

(2) 転換教育科目B:学部にかかわらず、所属学生以外をも対象に開設する少人数の授業科目です。  「行動科学の考え方」、「くらしと技術」、「社会への視座」、「欧米文学理論」、「インド学入門」、「動物行動学」、「ヨーロッパの歴史と現代」などがあります。
○教養教育科目は、上記理念の(1)の役割を取り入れた科目です。すなわち、人文、社会、自然科学の諸領域の思考方法などを幅広く学ぶことによって、専門に捉われない広い視野と柔軟な思考力を養うための教育として位置づけられます。 
 この科目は、次の5つのカテゴリーに分けられています。

(1) 複数文化と国際事情
「英米文化論」、「言語文化論」、「日本語特論」

(2) 言語・思想・歴史の探究
「日本の言葉と文学」、「中国の文学と思想」、「論理の世界」、「西洋の哲学思想」、「西洋の倫理思想」、「行為の理論」、「歴史と文化」、「サンスクリット語」、「ギリシア語」、「ラテン語」、「アラビア語」

(3) 人間と社会の科学
「心の科学」、「芸術の世界」、「宗教の科学」、「文化人類学」、「社会の科学」、「地域と環境」、「日本国憲法」

(4) 自然の理解と分祈
「数学の世界」、「社会の数理」、「物理学の進歩」、「フロンティア物理学」、「物質の科学」、「環境と生活の科学」、「バイオサイエンス」、「宇宙の科学」、「地球環境科学」、「情報処理概論」
(5) 総合科目
「アメリカ研究総合」、「地域文化総合」、「現代社会論」、「エネルギー資源論」、「自然環境論」、「情報科学」

なお、このほかに、外国人留学生のための教養教育科目として「日本事情」が開設されています。
○基礎教育科目は、上記理念の(2)の役割を取り入れた科目です。すなわち、専門教育科目の学習に直結する科目及びこれと隣接する科目として位置づけ開設されています。
(1) 教   学
「数学」、「教理統計学」、「解析学」、「教学物理学演習」、「線形代数学」、「離散数学」

(2) 物 理 学
「物理学」、「物理学特論」、「天文学」、「地球惑星物理学」、「物理学実験」

(3) 化   学
「化学」、「化学実験」

(4) 生 物 学
「生物科学」、「生物科学実験」

(5) 地   学
「地圏環境科学」、「地理学」、「地球物質科学」、「地学実験」

(6) 情   報
「情報処理概論」、「情報処理演習」

(7) 文   系
「哲学概論」、「社会学概論」、「社会学講読」、「倫理学講読」、「経済書講読」
○外国語教育科目は、外国語の読み、書き、話し、聞くという4要素について、既に習得した外国語の能力を高めること、初めて学ぶ外国語の基礎を身に着けること、及び外国語の学習を通じて外国文化に接し、それによって外国文化を理解する能力を高めることを目的として開設されています。
科目として、以下のものが開設されています。

(1)英語(2)ドイツ語(3)フランス語(4)ロシア語(5)スペイン語(6)中国語(7)朝鮮語

なお、このほかに、外国人留学生のための外国語教育科目として「日本語」が開設されています。
○保健体育教育科目は、スポーツ実技による健康な身体を造るだけでなく、運動理論、健康教育、更には文化的な要素を含む広がりのある教育を行います。
開設する科目は、次のとおりです。

「スポーツの科学」、「身体の文化と科学」
○資格取得のための科目は、教員免許状取得のために、次のものを開設しています。
「教育原理」、「教育心理学」、「人間関係論」、「相談心理学」
以下に、大学教育研究センターの組織図を示す。

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