◇私にとっての全学教育 | ||
歯学部4年生 竹屋 静枝 | ||
私は歯学を志して大学に入学しました。将来を見据えた勉学に励めるような専門科目の充実のみならず、幅広い教養を与え、想像力、思考力を育んでくれるような教育科目との相乗効果も期待していました。専門科目、教育科目の両者があってこそ、より専門分野を理解できると思えたし、将来起こり得る様々な困難にも信念をもって対処できると考えていました。その意味で、専門課程と教養課程の融合ともいえるカリキュラム改造後に入学できたということは、私にとって喜ばしいことであり、歯学という学問への興味はさらに高まりました。 しかし、実際に授業が始まってみると、理想と現実とのギャップを感じずにはいられませんでした。医学の専門領域に触れられる時間数が思いのほか少なかったためです。確かに転換教育の中で受講した「歯科臨床見学」や「歯学概論」は歯学を知り、将来への予測を立てるという意味では有意義でした。しかし、いま一つ漠然としていて、前向きに歯学に取り組むという動機付けにはならないように思われました。歯科医になるという自覚を早く持ちたいと考えていた私にとっては、より多くの専門教育を受けたいと、はやる気持ちで一杯でした。また、必修科目が多く、思うように選択科目を受講できなかったということも、満足いかないことでした。 入学当初の学生は皆、自分の専攻する学問ヘの夢で一杯です。一日も早く、その学問の広がりを知り、専門家の一員として認められたいという気持ちもあります。この希望に満ちた時期に、より高い専門性を求める心をかきたててこそ、その後に柔軟な思考に裏打ちされた、自由な勉学意欲が生まれるのではないでしょうか。この時期に専門科目が増加する分、教育科目の時間数は減少しますが、その分全学年に均等に分割することにより解決するのではないでしょうか。これにより、時に専門分野から離れ、自分を見つめ直す機会も得られると思います。さらに、必修科目を削減し選択の自由化を計ること、また将来、私たちに求められるであろうボランティア活動に参加することにより、学生の自主性や個性の広がりも増すと思います。 浪人生活を経験したこともあり、私の大学に対する夢は大きく、大学側の努力や、本校の学部の分散という構造的な問題を知りつつも、一層の改善を求めていきたい気持ちで筆を走らせました。しかし、東北大という総合大学において、他学部の学生の交流が可能だったことなど、全学教育が私にとって有意義だったのも事実です。だからこそ、この時期に後輩たちが、専門性、人間性ともに高めていけたらと望んで止みません。 |
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