◇全学教育を受講して | ||
理学部4年生 大下内 伸 | ||
新しい事を始める際には、地図のようなものがあれば便利なものです。そういう意味で全学教育は専門教育を受ける上でも、広く学問を学ぶ上でも地図となり得ると思います。高校時代は大学入試に集中せざるを得ないため、学ぶ内容もそれを意識した範囲に限られてしまいます。そうした状況で我慢を強いられていた知識欲を満たす場として、本大学における全学教育が用意されているものと期待していましたが、実際に体験して感じたのは、「もの足りなさ」でした。知識欲や好奇心をかき立てられ、耳を傾け学ぶ事というのは楽しく、そこで学ぶ事は記憶に残りやすいものです。また、高校や予備校を出たての新入生にとっての教養教育科目は、入試科目の範囲にはない新鮮で興味を惹くもので、そういった意味で、教官には入門者に対する教育であるということを理解して戴きたいと思うのです。何事も第一歩目は大事で、そこで好奇心を持続あるいは増幅させれば、その授業が契機となり、関心が高まったり、疑間が解けたりすることが往々にしてあると思うのです。そのようなあり方こそ全学教育の目的であり、このような授業によって専門的知識に加え、広い教養、幾種もの思考回路を持つ人が増えることになるのではないでしょうか。 学部によっても異なりますが、カリキュラムに関しては必修科目が減ったとはいえ、選択科目も実質的には取得しなければならない(選択しにくい)状況にあります。また、個々人の興味の対象は異なり、当然全学教育では網羅しきれない分野もでてきますし、そういうものは授業以外に求めざるを得ないことになります。特定の学部に入学したとはいえ、人には寄り道も必要です。広い教養、幾種もの思考回路を持つことによって、寄り道が行き詰まった時の打開策を生むことになったり、場合によっては本線になったりする可能性もあると思うのです。そういう意味で選択科目を実質的なものに変える必要があるのではないでしょうか。 これを読む新入生の方々は誤解しないで下さい。全学教育はもの足りない授業ばかりではありません。個々人の興味にもよりますが、斬新な授業をする教官もいますし、各教官方は、その分野きっての達人です。疑問を投げかければ、答が返ってくるでしょうし、議論にも応じてくれるでしょう。 物事には正負両方の作用がありますが、総じて、全学教育は正の作用があると思います。新入生にとって全学教育が専門教育への良い地図となるよう、さらなる改善がなされることを期待しています。 |
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