◇全学教育を終えて | ||
医学部3年生 白戸 崇 | ||
この2年間、自分は何を学んできたのだろうかと振り返ってみる。思い出すことは、ほとんど全てが専門科目のことであり、全学教育科目のことは、ほとんど頭に残っていない。全学教育科目とは本来、専門教育ばかりを詰め込んだ人材育成を避ける為に設けられていると聞くが、自分を思い返してみる限り、その成果は、全く上がっていないと思われる。 入学当初、私は秘かに大学教育に期待をしていた。英語嫌いな私に何かきっかけを与えてくれる講義が大学にはあるだろうと思っていた。しかし、入学して一週間で期待はもろくも崩れ去ってしまう。なぜなら、既にクラス分けをされたクラスに据えられ、しかも、授業は高校とほとんど変わらない、訳すだけのつまらないものだったからである。興味をひかない講義を聞かなければいけないのは、苦痛以外の何物でもなかった。その後も期待は裏切られ続け、私の英語嫌いは今も直っていない。 他の講義も同様で興味をひくものは一つとしてなかった。これはなぜだろうか。原因としては、医学部のカリキュラムが、科目がほとんど選択できないものになっているためであろう。大学の講義とは『自ら選んだ科目を進んで学習する』姿勢が必要であると考えていた。しかし、実際はシラバスを見て受けてみたいと思った講義が必修科目と重なって受けられないことが多く、単位を取るために仕方なく他の講義を受けることになってしまう。その講義もやはり興味をもてないものなのでこれでは学習意欲がそがれてしまい結果として何も頭に残らない。それでも、単位は取れるので頭は真っ白のままで全学教育を終わってしまう。このような悪循環が起きていたので『自ら進んで学習する』姿勢を持てなかったと思われる。これを改善するには、必修科目を少し減らす等の対処をして選択に幅を持たせるといいだろう。そうすることで、高校や義務教育のような、ある意味で『上から押しつける』講義とは違った大学らしい講義になると思う。また、講義内容の充実も計るべきで、そのためには担当教官もある程度学生に評価されるようにしたらいいと思う。そして教官は出席で学生を縛らずに、講義内容で学生を魅了して欲しい。 現状の全学教育科目は、まだまだ改善の余地があると思う。しかし、改善の余地があるということは、ある程度自由に講義を変更できることの裏返しでもあると思う。それを生かした講義を教官には期待したい。それが、より良い講義、ひいてはより良い大学教育につながっていくと思う。 |
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