◇附属図書館は情報の宝庫 | ||
附属図書館長 小田 忠雄 | ||
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。 ところで、文豪・夏目漱石のことはもちろんご存知と思います。『吾輩は猫である』や『坊っちゃん』の作者であり、千円札にも肖像が載っています。なぜこんなことを突然持ち出したかといいますと、実は川内にある東北大学附属図書館本館所蔵の数々の貴重図書・資料の中に、3000点にものぼる夏目漱石の蔵書や資料がそっくり「漱石文庫」として所蔵されているからです。漱石自身による興味深い書込みのある洋書、『吾輩は猫である』の序文の草稿、学生時代の試験答案、日記、それに几帳面な漱石らしく、小遣い帳、金の貸付簿等興味深いものが多数含まれています。 研究のために大切に保存する必要がありますので、残念ながら現物を直接お見せするのは、特別展示等の機会に限られます。実は私自身も、直接見る機会はあまりありません。しかし、幸いインターネットの附属図書館ホームページ(http://www.library.tohoku.ac.jp/)で、いくつかを見ることが出来ます。先日米国の近代日本文学研究者が漱石研究のために来訪され、漱石の蔵書のある箇所に漱石自身によると思われるアンダーラインが引いてあるのを確認されました。漱石文学の研究にとって大変貴重な情報のようですが、もし特別な保存措置を講じていなければ、漱石自身によるアンダーラインか否かの確認しようがなかったところです。 他にも沢山の貴重な特別コレクションがありますが、なかでも10万点からなる「狩野文庫」は、江戸学に関する第一級の資料群で、研究者垂涎の的だそうです。その中には国宝2点も含まれており、ホームページにいくつか展示されています。 本学学生証のIDカード1枚で、このような貴重資料を含む情報の宝庫である附属図書館に入り込めます。また、保存の関係で直接見る機会が少ないものや、附属図書館の外にある貴重な情報も、インターネットを通じて容易に手に入る時代になりました。幸い、情報処理教育センターのコンピューター利用アカウントが学部新入生諸君達全てに与えられているはずです。図書館内で利用できる端末の数は必ずしも十分とは言えませんが、是非活用して下さい。もちろん図書館の外にあるインターネット端末からも自由に見られます。オンライン目録であるOPACはもとより、学術2次情報の電子的検索、更には電子ジャーナルまでもが日常的な世の中になりつつあります。 附属図書館には、本館の他に、医学分館、工学分館、北青葉山分館(理学・薬学関係)、農学分館およびいくつかの部局図書館があり、合せて単行本340万冊以上、製本済の学術雑誌6万種類くらいを所蔵しています。本館には、全学教育用図書の他に、文科系学部・研究科のための専門教育用・研究用図書が多数あります。また、分館や部局図書館には、キャンパス毎の専門分野のための専門教育用・研究用図書が多数あります。 学部新入生諸君の最初1年半の川内北キャンパス時代には、本館が最も馴染が深いと思います。残念ながら、学部学生の諸君は、本館の書庫へ直接入って頂く訳には行きませんが、利用したい書庫の本があれば、カウンターで申し込んで借用手続きをして下さい。もっとも、開架式閲覧書架だけでも相当あり、素晴らしい世界が広がります。 図書館の利用の仕方については、附属図書館の60分間のビデオによるオリエンテーションを行いますし、尋ねて頂ければ図書館職員も疑問にお答えします。 諸君達の在学中に2001年が来て、21世紀が始まります。我々は世界を相手に競争する必要があります。また、色々な側面で、これまでとは異なった世界標準(グローバル・スタンダード)への対応が我国全体に求められています。東北大生である選ばれた諸君達に期待するところ非常に大です。学問に限らず広い世界への何よりの近道は本を通してであると考えています。諸君達も、ぜひ一度本館や分館に来て、出来るだけ早い内に本に病みつきになって頂きたいと思います。 |
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