◇「全学教育科目を学んで」
工学部4年生  橋詰 浩明
 大学に入ってから初めの2年間は、川内北キャンパスで専門教育を受ける前の基礎となる全学教育科目を受講しました。卒業を間近にした今になって考えてみると、私が大学教育センターで学んだ2年間は、高校を卒業してから大学に入学して、仙台という街に慣れ親しむためには必要かつ十分な時間であったように思います。それと同時に、将来学ぶ専門分野についていろいろと考えさせられた期間でもありました。

 私にとっての大学とは、親元から離れ、社会人として一人前に独立するための大きな土台となるための場所であったように思われます。なぜなら、学生という身分は自由にできる時間と、そこで自分のやりたいことを試すことができるチャンスが与えられていたからです。だらだらと暇な時間が過ぎていく、いかにも無駄な時間を過ごしているような感じがする全学教育科目の授業が行われる川内北キャンパスでの2年間は、まさにその絶好の場ともいうべきものでした。

 全学教育科目の授業を受けて感じたことは、高校までの授業とは違い、教官と学生とのコミュニケーションがほとんど無いことです。教官が学生に呼びかけるようなこともなく、どうしても受け身がちな授業となってしまい、自分で納得しながら授業を進めていく必要があります。解析学Iや解析学Uなどの数学の授業では、教官は教室に入ってくるや否や黒板に数式をただ羅列するばかりで、学生は黒板と対話するかのような授業となります。学生が自主的に理解しようとしなければ、このような授業にはついていけず、中にはサボる学生まで出てきてしまうほどです。当然、「もっと学生を理解させるような授業をしてほしい。」という学生の声が多数あります。自分の研究に忙しい教官が多いことも分かりますが、一考願いたいことの一つです。

 授業に出席して自分で勉強していかないと、どんどん置いてかれてしまうことになりますが、そういうことでは、大学教育センターでのせっかくの2年間が無駄になってしまいます。完壁に理解できないまでも授業にはきちんと出席して教官の話ぐらいは聞くように心がければ、授業に出ないよりはかなり理解度も変わってきます。私も様々な講義をただ聞いていただけでしたが、それでも十分専門教育科目の授業で役に立ったと思います。

 全学教育科目には、興味の湧くような授業もあるにもかかわらず、受講できなかったという問題もありました。具体的には、工学部の場合はカリキュラムの関係上、ほとんど授業には選択の余裕がなかったのです。クラス単位で設定されている数学や物理などの基礎教育科目を受講しようとすると、他に受講したい教養教育科目の授業が同じ時間帯にしか開講されていないのです。履修することができる授業科目は必然的に決まってしまいます。第二外国語にいたっては、ドイツ語以外は履修できない状況でした。本来、学部の枠を越えて、幅広い教養・知識を身につける授業を受けられるのが大学教育研究センターのあるべき姿であり、設置の目的だと思います。

 新入生の皆さんには、自分を成長させる意味においても全学教育科目は大事だと思いますので、無駄なこととは考えず、授業には欠かさず出席してほしいと思います。

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